ドル/円相場は、84円水準まで値位置を切り上げ、1年8ヶ月ぶりのドル高・円安水準を更新している。16日の総選挙前からドル高・円安圧力が強くなっていたが、実際に自民党の圧勝が確認されたことで、一段とドル買い・円売り圧力が強くなっている。
総選挙では480議席の内、自民党が294議席、公明党が31議席を確保し、両党合計で衆院での再可決が可能な3分の2を上回る議席を確保した。これで、自民党の脱デフレ・脱円高という公約は実現に向けて大きく前進することになり、選挙明けの17日の取引では早朝から海外勢を中心に円売り圧力が一段と強くなっている。これで短期的な円売り材料の出尽くし感もあるが、特に目立ったドル売り材料などがある訳ではなく、ドルの下値不安は限定されている。今後は、自民党政権公約が着実に実効に移されるのかを見極めるステージになる。選挙後には、改めて「量的緩和をしっかり行うことで円高が是正される。最初に反応するのが株価で、その後少し時間を置いて、投資・雇用が起こり、賃金収入が上がっていく順番だ。この時差をなるべく短くしたい」と述べて、円高是正の方針を再確認している。今後の経済閣僚人事などでこの方向性が再確認されれば、85円の節目突破も視野に入る。
ただ、既にIMMの円売り越し幅は約5年5ヶ月ぶりの高水準に達しており、短期的な過熱感は否めない状況にある。19~20日の日銀金融政策決定会合などをきっかけに、短期筋がドル買い・円売りポジションの利食い売りに動くリスクには注意が必要。
今後1週間の予想レンジは、82.75~85.50円。